心臓移植後は感染症にかかり易くなりますので、術後急性期は清潔さを保てるように工夫した移植患者専用の個室に入ります。
このような移植患者専用の個室は、集中治療部(ICU)、特殊診断治療部(東4階病棟)、心臓血管外科病棟(西9階病棟)にあります。どの病棟にはいるかはあなたの健康状態や、その他の状況に応じて決定します。
術後約1週間たって、移植された心臓の状態が安定し、しかも拒絶反応や感染症の危険性がないと判断されたときには、この移植専用個室を出て普通の個室に入ります。以後は、普通の個室で治療を受けながら普通の環境に馴れるようにします。心臓移植後に行った心筋生検で、中等度以上の拒絶反応、つまり治療が必要な拒絶反応が起きていることが判明した場合には、再び上記の移植専用個室に入ります。
感染症から患者さんを守るために、外界(健康な者には害のない雑菌がいる)から隔離するための部屋です。部屋に入ってくる空気をフィルターで濾過し、細菌などが部屋の中に入ってこないように設計されており、また前室を設けて廊下の空気が部屋に混入しないようになっています。部屋の中で使う道具類もあらかじめ消毒してあります。
感染から患者さんを守るために、術後経過に応じて、家族やその他の面会が制限されますし、医者や看護婦の出入りも制限します。
特別の合併症が起こらない限り、麻酔から醒めると腸が動き出しますので術翌日の夕方か、遅くとも翌々日には食事の摂取を開始します。
手術の翌日から座る練習をはじめ、2日目にはベッドから下りる練習を始めます。3日目から部屋の中の歩行を開始するようがんばって貰います。
移植後7、14、21、28日目に心筋生検を行って、急性拒絶反応が起こっていないかどうかチェックしますが、拒絶反応が認められないか治療の必要がないくらい軽度の場合は30日目前後に退院できます。拒絶反応の治療を行った場合、その後の心筋生検で2回連続して拒絶反応が陰性になった時点で退院が可能になります。