大阪大学は、我が国における脳死臓器移植の再開に向けて、20年以上にわたり精力的に準備を進めるとともに、社会的な活動も行ってきました。
1988年、日本医師会生命倫理懇談会が「脳の死をもって人の個体死として認める」としたことを受け、大阪大学医学部倫理委員会にて脳死臓器移植について審議され、1990年8月、心・肝・腎移植が認可されました。そして、1992年1月、臨時脳死及び臓器移植調査会の最終答申から、1997年6月17日、「臓器移植に関する法律」の制定まで、移植関係の患者団体とともに臓器移植法の制定に向けて、積極的に協力し活動してきました。
法律の制定後、移植関係合同委員会より、心臓、腎、肺、膵、小腸、肝、心肺同時の順に、移植実施施設として認定されました。2006年、保険収載改定により、心、心肺、肺、肝、膵、腎の全ての脳死臓器移植の保険施設として認定されました。
脳死臓器移植を、心、肺、心肺、肝、肝腎、膵、腎、膵腎、小腸で実施しています。
1965年に当院第一例の生体腎移植を行い、1998年から生体肝移植を実施しています。
一方、造血幹細胞移植は、血液腫瘍内科、小児科を中心に従来から精力的に進められています。
このように、大阪大学における臓器移植、細胞移植における発展をふまえ、診療科横断的に移植医療を推進していくことを目的として、2003年、“移植医療部”が院内措置として設立されました。さらに、同年(2003年)、看護部の全面的な協力の下、専従のレシピエント移植コーディネーターが配置され、2005年には、臓器提供に関る院内コーディネーター2名も配置されました。2006年から、レシピエント移植コーディネーターも4名体制となり、2007年、“移植医療部”も中央診療施設として承認されました。
いまだ、脳死からの移植は低迷している現状ではありますが、生体移植や脳死移植待機患者の増加、移植患者の管理など、院内外における移植医療部の役割は大きくなってきています。これからも、私たちの理念である「心のこもった移植医療」の実現に向けて努力して行きたいと考えています。