2023年に、大阪大学医学部附属病院移植医療部が開設されて20年の節目を迎えました。当院は、わが国で実施されているすべての臓器移植(心、肺、腎、肝、膵、小腸)の実施施設として認定を受け、日本の移植医療の推進のために大きな役割を果たしてきました。移植医療の成功には、外科系診療科・麻酔科・手術部・集中治療部による周術期治療だけでなく、ドナー評価、感染症・拒絶反応の診断・治療など内科系も含めた全診療科、また看護部、ME部門などとの連携が必要です。移植医療部はこれらの部門の取りまとめ役として院内協力体制の構築と維持、そしてレシピエント移植コーディネーターを通しての臓器移植を希望する方・臓器移植を待機している方・臓器移植を実施した方々に対してサポートをおこなう部署として日々の診療に努めています。当院の移植医療部は臓器移植のみならず、造血幹細胞移植も支援しています。
近年は、国内での臓器提供数も増加し、それに応えられるスムーズな移植が実施できる体制を整える必要性があります。また、働き方改革は医療界にも押し寄せてきており、その中で医療従事者の負担の多い移植医療を持続可能なものにしていくことが喫緊の課題であります。移植医療は究極の多職種連携、多科統合の医療です。我が国随一の全臓器の移植を実施していくために、移植関連診療科長会議やスタッフ会議・運営部会において、各診療科や各職種での意思疎通を図りながら進めております。現在の移植医療部は、6名のレシピエント移植コーディネーター、1名の造血細胞移植コーディネーター、2名の非常勤医員、そして各診療科からのスタッフ総勢14名の中央診療部門としてその職責を果たしていきます。
次の10年に向けては、成人、小児も含めて全臓器の移植をさらに推進することにより、一人でも多くの患者さんに移植医療を提供し、その成果を世界に発信できるような移植医療部を目指します。移植医療の人々を結びつける証としてワニ博士のグリーンリボンのピンバッチを作成いたしました。尊い気持ちをつなぐ医療が根付くよう努めてまいります。
移植医療部 部長 上野 豪久
大阪大学
公式マスコットキャラクター & グリーンリボン
「ワニ博士」