移植医療部Q&A

臓器移植全般について

臓器移植とは何ですか
●臓器移植とは、臓器が障害され、生命が危ぶまれたり、生活が非常に障害されたりするようなときに、他の人から臓器をいただいて、回復を目指すものです。
レシピエント(臓器をいただく人)の臓器を摘出して、ドナー(臓器を提供する人)の臓器を同じ場所に移植することを同所性臓器移植といい、心臓、肺、肝臓、小腸などの移植で行われます。
●一方、膵臓や腎臓の移植ではレシピエントの臓器を残したままで、別の場所にドナーの臓器を移植するので異所性臓器移植といいます。
どのような臓器が移植できるのですか。
●ほとんどの臓器が移植可能ですが、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸の移植が一般的です。
●患者さんによっては、心臓と肺、膵臓と腎臓など、2つ以上の臓器を同時に移植しないといけない方もいます。
臓器移植はどのような方が受ける治療ですか。
●現在の医学で考えられる、あらゆる内科的・外科的治療を行っても治癒できないほど、臓器が障害された場合に臓器移植の適応となります。
●臓器移植の適応疾患や医学的な基準は各臓器移植によって決められています。
●臓器移植後には、免疫を抑える薬など様々な薬を飲んでもらったり、様々な生活の制約を守ってもらったり必要がありますので、臓器移植について、移植を受けていただく本人・家族がよく理解していただく必要があります。
●また、臓器移植は、ドナーの方の善意で成り立つ医療です。従って、いただいた臓器をいつまでも大切にし、ドナーやそのご家族に対して感謝の気持ちを持っていただくことが必要です。
どのような方から臓器をいただくのですか。
●亡くなった方から、臓器を提供していただき移植することを死体臓器移植、生きている方(多くは家族)の臓器を提供いただき移植することを生体臓器移植といいます。
●死体臓器移植の中には、脳死になった方から臓器を提供いただく脳死臓器移植と、腎移植では心臓死になった方から腎提供いただく献腎移植があります。
●一方、生体臓器移植は、生きている方から臓器をいただくことになるため、肺、肝臓、腎臓、小腸などが可能です。
●生体移植の場合、肝臓、腎臓、小腸は一人のドナーから移植すれば十分なことが多いですが、肺は多くの場合、二人のドナーが必要です。
●生体ドナーの場合、肝臓は残りの部分が成長しますが、肺、腎臓は摘出した分だけ、生体ドナーの臓器機能は低下します。
●我が国では死体ドナーの数が少ないので、欧米に比べて生体臓器移植の割合が非常に高いのが特徴です。
どのようにすれば死体臓器移植をうけられるのですか。
●我が国で、死体臓器移植を受けるためには、日本臓器移植ネットワークにその臓器の移植希望者として登録しなければなりません。
●現在、日本臓器移植ネットワークには、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸の移植希望者が登録されています。
●現在診てもらっている医師から移植施設を紹介してもらい、移植施設で、その臓器の移植が必要かどうか、また移植が可能かどうかを検討してもらいます。その結果、臓器移植が必要と判定された場合に、適応評価検討委員会で移植適応の評価が行われます。その結果、移植が必要と判定された患者さんが日本臓器移植ネットワークに登録されています。
●いずれの場合にも、まず最初に移植施設の先生に、何故移植が必要なのか、どのような移植が必要なのか、移植の後どうなるのかなどを、しっかりと話を聞き、ご家族とも十分に話し合った上で、登録して下さい。
どのようにすれば生体移植をうけられるのですか。

●現在診てもらっている医師に移植施設を紹介してもらい、移植施設で、その臓器の移植が必要かどうかを検討してもらいます。その結果、臓器移植が必要と判定された場合に、移植を受けることができます。
●但し、臓器を提供していただける生体ドナーがいなくては成り立ちません。
●生体移植は、健康な方からの臓器提供でリスクも伴いますので、極めて慎重に判断される必要があります。
生体ドナーはどのような人がなることができますか。
●生体ドナーになりうる人は、原則的に親族に限定されます。親族とは6親等以内の血族、配偶者となる3親等以内の姻族を指します。ただし、生体ドナーになりうる範囲は移植施設によって異なります。
●ドナーの方の血液型、臓器機能、その他の基礎疾患などがないかを十分に精査し検討したうえで、医学的にドナーになっていただけるかどうかを決定します。
●これ以外に、提供は本人の自発的な意思によって行われるべきものであり、報酬を目的とした提供は臓器の移植に関する法律で禁じられています。